1. HOME
  2. 製品加工・解決事例
  3. コラム
  4. ステンレス板金加工(SUS304/SUS316)の注意点。焼け取りと表面仕上げの種類

ステンレス板金加工(SUS304/SUS316)の注意点。焼け取りと表面仕上げの種類

ステンレス板金加工(SUS304/SUS316)の注意点。焼け取りと表面仕上げの種類

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ステンレス板金加工(SUS304/SUS316)の注意点。焼け取りと表面仕上げの種類

はじめに:ステンレス板金加工の奥深さと課題

製造業の多くの分野で愛用されるステンレス鋼。その優れた耐食性と美しい外観は、医療機器、食品機械、半導体製造装置、さらには建築意匠まで、幅広い製品に付加価値を与えています。
しかし、ステンレスは鉄やアルミと比較すると、板金加工において非常に「難易度の高い素材」として知られています。


特にステンレス板金加工において、切断や曲げといった「成形」と同じくらい重要なのが、溶接後の「焼け取り」と、製品の印象を左右する「表面仕上げ」です。
本記事では、代表的なステンレス鋼材であるSUS304とSUS316の違いから、加工時に陥りやすい注意点、そして美観と機能性を両立させる仕上げ技術までを徹底解説します。

SUS304とSUS316の違い。用途に応じた最適な選定

ステンレス板金加工の第一歩は、適切な鋼材選定にあります。現場で最も多く扱われるのがSUS304とSUS316ですが、これらは似て非なる特性を持っています。

SUS304の特徴と用途
「18-8ステンレス」とも呼ばれ、ニッケル8%、クロム18%を含む最も一般的なステンレス鋼です。
耐食性、溶接性、加工性のバランスが非常に良く、家庭用品から工業部品まで幅広く使用されます。

SUS316の特徴と用途
SUS304に「モリブデン」を添加したものがSUS316です。これにより、塩化物に対する耐食性(耐孔食性)が劇的に向上しています。
沿岸地域の設備や化学プラント、医療用など、SUS304では腐食が進んでしまうような過酷な環境下で選定されます。

設計上の注意点
SUS316はSUS304よりも硬く、粘りが強いため、板金加工における「曲げ」の際のスプリングバックが大きくなる傾向にあります。
精密な寸法公差を求める場合、素材特性を理解した曲げ補正が不可欠です。また、SUS316は材料コストが高いため、過剰スペックにならないよう環境に応じた選定が求められます。

ステンレス板金加工における主な注意点

ステンレスは熱伝導率が低く、熱膨張率が高いという物理的特性を持っています。これが板金加工においていくつかのトラブルを引き起こします。

レーザー切断時の酸化とバリ

ステンレスのレーザー切断では、窒素を用いた「無酸化切断」が一般的です。酸素を使用すると切断面が黒く酸化し、耐食性が低下するためです。
また、ステンレスは粘りがあるため、切断面の裏側に「バリ」が発生しやすく、これをいかに除去するかが後工程の品質を左右します。

曲げ加工時の「キズ」対策

ステンレス製品の多くは、表面の美観が重視されます。通常のプレスブレーキで曲げ加工を行うと、金型との摩擦で「キズ」が発生します。
これを防ぐためには、金型に保護テープを貼る、あるいは「傷防止用金型」を使用するといった、ステンレス特有の配慮が必要です。

加工硬化への対応

ステンレスは加工を加えることで硬くなる「加工硬化」が起きやすい素材です。
穴あけ加工において、切れ味の落ちたドリルで無理に加工を続けると、表面が硬化してしまい、後続のタッピング加工(ネジ立て)ができなくなることがあります。

溶接後の「焼け取り」:耐食性を復活させる重要工程


ステンレスを溶接すると、接合部周辺が茶褐色や青紫色に変色します。これが「溶接焼け」です。
これは単なる見栄えの問題ではなく、ステンレスの耐食性の要である「不動態皮膜」が破壊されている状態を意味します。

物理的焼け取り(研磨)
サンダーやバフを用いて、焼け付いた酸化皮膜を物理的に削り取る方法です。
強固な焼けを確実に落とせる反面、周囲の表面仕上げと模様を合わせる「補修研磨」に高い技能が必要となります。

化学的焼け取り(電解研磨・酸洗い)
電解液と電気の力を用いて、焼けを除去する方法です。複雑な形状の内側や、物理的な工具が入らない箇所の焼け取りに適しています。
また、化学的な反応によって表面に強固な不動態皮膜を再形成できるため、耐食性を長期にわたって維持できます。

製品の価値を決める「表面仕上げ」の種類と特徴

ステンレス板金加工の最終工程である表面仕上げは、用途によって使い分けられます。

  • 2B仕上げ:最も標準的な仕上げです。適度な光沢があり、多くの工業製品のベースとして使用されます。
  • ヘアライン仕上げ:髪の毛のように細い連続した線を一方向に研磨した仕上げです。高級感があり、厨房機器や家電製品に多用されます。
  • 鏡面仕上げ:鏡のように光を反射するまで磨き上げた仕上げです。装飾品やサニタリー装置などで採用されます。
  • バイブレーション仕上げ:多方向へのランダムな研磨模様を施した仕上げです。キズや指紋が目立ちにくい特徴があります。

株式会社アーバンカンパニーによるステンレス精密加工

株式会社アーバンカンパニーでは、ステンレス素材の特性を熟知したプロフェッショナルが、高精度な板金加工を提供しています。
ステンレス特有の歪みやコストを抑えるためのV.E提案も積極的に行っています。

まとめ:ステンレスの魅力を最大限に引き出すために

ステンレス板金加工は、単に「形を作る」だけでは不十分です。
素材特性を理解した加工、不動態皮膜を保護するための丁寧な焼け取り、そして用途に合わせた最適な表面仕上げ。
これらすべてが揃って初めて、ステンレス製品はその真価を発揮します。

設計の段階で仕上げの種類や加工限界を考慮しておくことは、リードタイムの短縮やコスト削減にも直結します。
ステンレス板金加工における課題解決については、ぜひアーバンカンパニーの技術力をご活用ください。

▼お問い合わせ・お見積りはこちら
▼当社の製作事例を見る

  • このエントリーをはてなブックマークに追加